疫病除けのまじない食② きゅうり封じ

「きゅうり封じ」「きゅうり加持」は、野菜がまじないを担う例です。

きゅうりに人間の代わりに病を担ってもらい、

災厄の身代わりになってもらうというものです。

京都のいくつかの寺院でおこなれていますが、

私が聞き取りしたところ、他にも全国何か所か行われているようです。

 

きうり封じのきうり塚

 

京都の「神光院」では、毎年七月二十一日と、この日に近い土用丑の日に「きゅうり加持」が行われます。

「きゅうり加持」は弘法大師が編み出したと伝わる秘儀で、

病魔悪鬼をキュウリに封じ込めて、無病息災を得るというもの。

キュウリのなかには「内符」が挟み込んであり、

このキュウリで体の悪い部分やよくなりたい部位をさすり、

持ち帰って家の庭土に埋めることで、病気除けとします。

 

夏野菜の代表格であるキュウリは、

9割が水分で非常に腐りやすいという性質を持っています。

つまり土に埋めると土内の微生物の力で分解されるのも早いため、

キュウリに封じ込められた病魔悪鬼は、

キュウリとともに分解されて、自然に還ってしまうと考えられました。

 

食材としてのキュウリの特性をいかし、

自然の働きをうまく利用しながら、

冥加を説明しているところがとても興味深いです。

 

きゅうり封じについては『日本まじない食図鑑』で詳しく紹介しています。

ご興味ある方は、ぜひ読んでみて下さい。

 

『日本まじない食図鑑』(amazonへ)

日本まじない食図鑑(青弓社刊)



x(旧twitter)気まぐれ更新中